社員ブログ

先輩社員の声

社用スマホ、タクシーの中に消える─焦りと成長のセブ日記─ ≪T.T≫

 

タクシーを降り、セブの強い日差しの下で建物を見上げた瞬間、胸騒ぎを感じた。

「あれ?」

無意識に右のポケットを叩く。
しかし、あるはずの感触がない。
背筋が冷たくなり、頭が真っ白になった。

「社用スマホがない!」

語学学校の入口に立つ守衛の前で、焦りと動揺が私の中を駆け巡った。
同い年のインターン生が私の横で心配そうな顔を向けている。
その視線を痛いほど感じ、恥ずかしさで頬が熱くなった。

即座に上司に電話をかけ、震える声で報告する。

「申し訳ありません。多分タクシーに社用スマホを忘れてしまいました……」

上司の声は意外なほど穏やかだったが、その優しさがかえって胸を締め付けた。

「、、スマホがないか、今一度確認してきます。。」

電話を切ると、私は深呼吸をして落ち着きを取り戻そうとした。
すぐに語学学校のスタッフに事情を話し、手元にあったタクシーのレシートを差し出した。
スタッフは真剣に耳を傾けてくれ、素早くタクシーの特定を試みてくれた。

しかし、簡単にはいかなかった。

「レシートに記載されている車番だけでは特定が難しいんです。同じ車番で複数の会社のタクシーがあるので……」

スタッフの申し訳なさそうな表情が胸に刺さる。
それでも、彼らは親切に、警察にも協力を要請してくれると言ってくれた。
その言葉にかすかな希望を感じつつも、どこかやるせない気持ちを抱えて帰社した。

「どうしてポケットにスマホを入れてしまったんだろう」

私は自問を繰り返した。

2日後、語学学校のスタッフから連絡が入った。

「タクシーとドライバーの特定ができました」

心が跳ね上がったが、結果は芳しくなかった。
フィリピン人スタッフがドライバーに連絡を取ってくれたが、社用スマホは見つからなかったという。
おそらく私が降車した際に助手席のポケットから滑り落ち、次の乗客がそれを持ち去ってしまったのだろう、という結論だった。

「やっぱりダメだったか……」

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~コラム:フィリピンで物をなくしたときの警察への届け出フロー~

ここで余談ですが、フィリピンで物をなくしたときのフローを簡単にご紹介します。

① 最寄りの警察署を訪れる
→落とした場所に近いエリアの警察署が基本的に担当です。

② 書類の準備
→以下のものが必要になることが多いです;
・有効な身分証(ID)
・紛失した物の詳細メモ
・レシートや証明があれば添付
※何もなければ口頭でもOKですが、詳細に話せるとスムーズです。

③ 警察に「Loss Report(Lost Property Report)」の作成を依頼
※ケースによっては役所に行って先に手続きすることもあります。

④ Loss Reportの発行(有料の場合あり)
→無料の場合もありますが、エリアや担当によって手数料(50〜200ペソ)を求められる場合があります。
英語での対応が基本ですが、地元の人に同行してもらうとスムーズに進むことが多いです。

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報告を受け、私は再び上司の元へ謝罪に向かった。
厳しい叱責を覚悟していたが、上司の反応は私の予想とはまったく異なっていた。

「まあ、こういうこともありますからね。次気を付けましょう。」

その優しい言葉を聞いた瞬間、思わず涙がこみ上げそうになった。
自分を責めていた気持ちが、ふっと軽くなったのを感じた。

この一件で、私は二度とスマホを安易にポケットに入れないと固く決意した。

また、この出来事にはもうひとつの側面があった。
一部始終を目撃していたインターン生が、意外な感想を私に伝えてくれたのだ。

「あの時の対応、すごかったですね。語学学校のスタッフさんに英語できちんと説明して、冷静に対処してましたよね。尊敬しました」

自分がただ狼狽しているだけだと思っていた私にとって、その言葉は救いであり、新たな気づきでもあった。
こんなトラブルの最中に、自分が成長していることを感じられたのだ。

社用スマホをなくしたことは決して誉められたことではない。
しかし、その失敗を通して、自分の英語力や対応力が周囲から評価されていること、
そして何より、周囲の人々の優しさに触れることができた。

そう考えると、少しだけ前向きな気持ちになれたのだった。

「失敗したけど、無駄じゃなかった」

強い日差しが降り注ぐセブの街で、
私は小さく笑みを浮かべ、再び前を向いて歩き始めた。

 

 

 

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